透明水彩と不透明水彩の違いとは?特徴と選び方を解説!

 

透明水彩と不透明水彩の違いは絵の具の種類そのものが違うわけではありません。
同じ「水彩絵の具」ですが顔料とバインダーの配合が異なるだけです

こんにちは!

お絵かきマンの鯉江正広(こいえまさひろ)です。

水彩画を始めようとしたとき、画材屋さんの水彩コーナーで「透明水彩」と「不透明水彩」という2種類の絵の具が並んでいるのを見て、どちらを選べばいいのか迷った経験はありませんか。
見た目はどちらも「水彩絵の具」なのに、実際に使うと発色や重ね塗りの感覚がまったく違います。

この記事では、透明水彩と不透明水彩の成分から仕上がり、使い方までの違いを整理し、どちらが自分の描きたい画風に合うのかを判断できるようにお伝えします。
読み終えたときには、画材選びの基準がはっきりして、次の一枚をどの絵の具で描くか自信を持って選べるようになります。

透明水彩と不透明水彩は何が違うのか

この章では、透明水彩と不透明水彩という2つの絵の具が、成分のレベルでどう違うのか、そして呼び方が紛らわしいガッシュやポスターカラーとの関係まで踏み込んで整理します。

まず結論からお伝えすると、透明水彩と不透明水彩の違いは絵の具の種類そのものが違うわけではありません。
同じ「水彩絵の具」というカテゴリーの中で、顔料とバインダーの配合比が異なるだけです。

顔料とアラビアゴムの配合比という決定的な差

水彩絵の具は、色のもとになる顔料と、それを紙に定着させるバインダーを混ぜてつくられています。
透明水彩と不透明水彩のバインダーは、どちらもアラビアゴムです。

透明水彩は顔料が少なくアラビアゴムの配分が多いため、絵の具の粒子が紙の上で薄く広がり、下の色や紙の地色が透けて見えます。
一方で不透明水彩は顔料の配分が多く、アラビアゴムが少ないため、紙に塗ると下地を覆い隠す力が強くなります。

つまり、透明か不透明かを決めているのは絵の具の種類ではなく、顔料の濃度そのものだと言えます。
濃度の差だけの違いなので、透明水彩を厚く塗れば不透明に近づきますし、不透明水彩を薄く溶けば透明感を出すこともできます。

透明水彩・不透明水彩・ガッシュ・ポスターカラーの呼び方の整理

「不透明水彩」と「ガッシュ」は同じものを指していて、画材メーカーによって呼び方が違うだけです。
ポスターカラーは不透明水彩の仲間ですが、より平滑にムラなく塗れるように調整された絵の具で、アニメーションの背景制作などでも使われています。


ここで一つ注意していただきたいのが、「アクリルガッシュ」という名前の絵の具です。
見た目や質感は不透明水彩に似ていますが、バインダーがアクリル樹脂であるため、水彩絵の具とは異なる画材になります。

購入する際にパッケージの成分表示を確認すると、アラビアゴムなのかアクリル樹脂なのかが分かり、選び間違いを防げます。

仕上がりと表現の違いを見比べる

この章では、実際に紙の上に塗ったときに透明水彩と不透明水彩がそれぞれどんな表情を見せるのか、仕上がりの違いを具体的にお伝えします。
同じモチーフを描いても、選ぶ絵の具によって作品の印象は大きく変わります。

透明水彩がつくる「重なりの美しさ」

透明水彩は、色を塗り重ねるたびに下の色がうっすらと透けて見えるため、絵の具どうしが混ざり合ったような複雑な色味を生み出します。
紙の白さそのものを光として利用できるので、薄く溶いた絵の具を重ねるだけで、驚くほど明るく澄んだ色彩を表現できます。

ただし塗り重ねる回数が増えるほど透明感は失われていくため、何度も塗り直すことには向いていません。

不透明水彩がつくる「塗りムラのない力強さ」

不透明水彩は下の色の影響をほとんど受けずに上から色を乗せられるため、塗りムラが出にくく、面をきれいに塗りきることができます。
塗り重ねても下地が透けないので、暗い色の上に明るい色を乗せることも自由にでき、何度でも描き直しができる安心感があります。

色そのものがはっきりと発色するため、イラストのようにコントラストの効いた画面をつくりたいときに適しています。

ポスターカラー

使い方・技法から見る違い

この章では、絵の具を溶く水の量から、ハイライトの作り方、混色の考え方まで、実際に手を動かす場面での違いを解説します。
道具の使い方は透明水彩と不透明水彩でまったく異なるので、最初にこの違いを知っておくと制作がスムーズになります。

溶き方と水の量の違い

水彩画のにじみとぼかし技法を使った作品のクローズアップ。水を多く含んだ絵の具が紙の上で自然に広がり、グラデーションになっている質感
透明水彩

透明水彩はたっぷりの水で薄く溶いて使うのが基本です。
水の量を多くすることで顔料が紙の上に広がり、にじみやぼかしといった技法が生まれます。

不透明水彩は逆に水を少なめにして、クリーム状の濃度に練って使います。
水を少なくすることで顔料の密度が保たれ、下地を覆い隠す力が発揮されます。

ハイライトや明るい部分の作り方の違い

透明水彩では、白い絵の具を使わずに紙の地色をそのまま生かしてハイライトを表現するのが基本の考え方です。
塗り重ねるほど透明感が失われてしまうため、明るくしたい部分はあらかじめ塗り残しておくか、マスキングインクで保護してから周りを塗り進めます。

不透明水彩では白の絵の具を混ぜることで色を明るくでき、暗い色の上からでも明るい色を後から重ねられます。
そのため、ハイライトは仕上げの段階で最後に加えるという順番で進めても問題ありません。

混色と重ね塗りの考え方

透明水彩の混色は、パレットの上で色を混ぜる方法と、紙の上に色を重ねて透明感を生かして混ぜる方法の両方が使えます。
紙の上での重色は、パレットで混ぜるよりも複雑で奥行きのある色味になりやすいという特徴があります。

不透明水彩の重ね塗りは、下の色を覆い隠しながら進めるため、失敗した部分も上から塗り直して修正できます。
この修正しやすさは、透明水彩にはない不透明水彩ならではの強みです。


透明水彩は一度濁った色を塗り重ねてしまうと、紙の下から明るさを取り戻すことが難しくなります。
暗い色を重ねるときは、本当にその濃さが必要かを一度立ち止まって考えることをおすすめします。

透明水彩と不透明水彩は一緒に使える?

透明水彩と不透明水彩は、どちらもバインダーがアラビアゴムという同じ水彩絵の具の仲間なので、同じ画面の中で併用しても問題ありません。
先に不透明水彩でベースの色をしっかりと塗ってから、その上に透明水彩を重ねると、下地の色を活かしながら繊細な色の変化を加えることができます。

逆に透明水彩で描いた作品の一部分だけ、不透明水彩で覆い隠すように描き直すという使い方もできます。

不透明水彩で画用紙に描いてみた

併用するときのポイント

・先に不透明水彩、後から透明水彩の順番だと下地の色を活かしやすい
・透明水彩の上に不透明水彩を重ねると、部分的な修正や描き直しがしやすい
・パレットや筆は絵の具の性質が違うため、できれば分けて使うと管理がしやすい

どちらを選ぶべきか|画風・目的別の選び方

ここまでの違いを踏まえて、実際にどちらの絵の具を選べばいいのか、目的別に整理します。

紙の白さを生かした淡く優しい表現や、色の重なりによる奥行きを楽しみたい方には透明水彩が向いています。
はっきりとした発色や、修正のしやすさを重視したい方、イラストのようにコントラストの効いた画面をつくりたい方には不透明水彩が向いています。

どちらが優れているというものではなく、描きたい世界観によって適した絵の具が異なるだけだと、僕は考えています。

お絵描きマン

どちらの絵の具にも良さがあるので、まずは描きたい世界観をイメージしてから選んでみてくださいね。

NO.2662

僕が水彩画を制作するときに大切にしている考え方

僕は元々お店のPOPやイラストを描いていたのでポスターカラーを使用していました。
その名残で今も不透明水彩を使って風景画を描いています。
建物を描くことも多いので不透明水彩の特徴を生かすことができます。
水分を多く含むと透明水彩の風合いも出ます。
不透明水彩の魅力は、塗り重ねができて修正もできることかなと僕は感じています。

初めて不透明水彩を選ぶときはホルベイン不透明水彩がオススメです。
発色が鮮やかで水で薄めると透明感が出ます。

サクラクレパスポスターカラーは学校教育などでも親しまれているなじみ深い絵の具です。
初心者でも扱いやすいです。

お絵描きマン

水彩画は水彩紙を使うのが基本とお伝えしていますが、
不透明水彩の場合は画用紙・イラストボード・ケント紙なども使えます。
私も描き始めた頃から画用紙を使っています。

NO.2609

まとめ|透明水彩と不透明水彩、それぞれの魅力を知って描く

透明水彩と不透明水彩は、どちらも顔料とアラビアゴムからつくられる水彩絵の具でありながら、その配合比の違いによって表現できる世界がまったく異なります。
透明水彩は紙の白さを生かした重なりの美しさ、不透明水彩は塗りムラのない力強い発色というように、それぞれに得意な表現があります。

まずはどちらも少量試してみて、自分の描きたい画風に合う絵の具を見つけていただければと思います。

この記事のポイント

・透明水彩と不透明水彩の違いは顔料とアラビアゴムの配合比
・透明水彩は重なりの透明感、不透明水彩は塗りムラのない発色が魅力
・バインダーが同じなので併用も可能

よくある質問(FAQ)

Q. 透明水彩と不透明水彩、初心者にはどちらがおすすめですか?
A. 修正のしやすさを重視するなら不透明水彩、紙の白さを生かした淡い表現を楽しみたいなら透明水彩が向いています。
どちらも扱いやすさに大きな差はないため、描きたい絵のイメージで選ぶのがおすすめです。

Q. 透明水彩と不透明水彩は同じ筆やパレットを使えますか?
A. 同じアラビアゴムを使った絵の具なので使うこと自体は可能ですが、不透明水彩は乾くと固着しやすいため、できれば筆やパレットは分けて管理すると制作のテンポを保てます。

Q. アクリルガッシュも不透明水彩の一種ですか?
A. 見た目は似ていますが、アクリルガッシュはバインダーがアクリル樹脂であり、アラビアゴムを使う水彩絵の具(透明水彩・不透明水彩)とは異なる画材です。

Q. 透明水彩と不透明水彩は混ぜて使ってもいいのですか?
A. どちらもバインダーが同じアラビアゴムのため、同じ画面の中で併用することができます。
先に不透明水彩、後から透明水彩という順番で重ねる描き方もよく使われます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です